パス寄越せ!!

 男子の試合は、クラス単位でチームを組んで行われた。


 二クラス合同の体育なので、隼人が所属する一組は二組と対戦することになる。


 そして、なぜか二組にはサッカー部が多かった。終わった。


 隼人のクラスが全体的に絶望の空気感に陥る中、勝負を諦めていない者が一人いた。恭介だ。


 ——試合開始。


「パス!」


 じゃんけんに勝利しボールを手にしたチーム一組、さっそく恭介がパスを要求する。


 ボールを最初に持った男子が言われるままに恭介にパスをすると同時に、恭介がボールを蹴り、それがゴールに突き刺さった。


 ——沈黙。


 誰も予想していなかった。まさか、恭介がサッカーが得意だとは。


 相手ボールからプレイが再開し、前の何人かが抜かれて後ろでサボっていた隼人の元に到達。


 慌ててパッションだけの当たりをかますと運よくボールが零れたので隼人はそれを足でキャッチ。


「清原パス寄越せ!!」


 恭介の怒鳴り声が響き渡る。


 驚きつつ隼人は恭介にパスを出すと、恭介がドリブルを始め、全員抜き去ってさらっとシュートを決めた。上手すぎるって。

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