女帝降臨

「清原くん、わたしの派閥に来ない?」


 隼人に声をかけ勧誘したのは、話題になっていた愛華だった。


 彼女の狙いは、あわよくば隼人を自分たちの派閥に吸収し、香澄の心を折ってクラス全体を自分が支配すること。


 トントン拍子に物事が進むとは思っていないが、可能性はゼロではないと考えていた。


「ごめん、俺は香澄の方に行くから」


「そっか。じゃあ仕方ないね」


 妙にあっさりとした対応に、隼人は少し怖くなる。


 あとで香澄に相談しようと心に決めて、いったん愛華の様子を眺める。


 愛華は恭介に圧をかけに行っていた。


「隼人、新しいクラスどう?」


 突然現れた岳が緊張感を破り、隼人はほっと胸を撫でおろす。


「なんか派閥とかがあるみたい」

「あー、そうだよな。確か香澄は派閥の中心だろ?」

「相坂も知ってたのか」

「この学年ならたいていの人は知ってると思うけど。学年の女子の大半が、香澄と木原の派閥に分かれてるって」


 そうだったのか。


 衝撃の新事実。

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