人間って恐ろしい

あだ名は「女帝」

「そういえば木原さんにはあだ名があったような」


 あだ名。人の周りからの評価を端的に表す言葉。


 木原さんについて知るには絶好のチャンスだ。


「どんなあだ名?」

「女帝」


 なるほど、ちょっとよくわからない。


 だが、言葉だけ聞いてわからなくても、由来を聞けば人柄がわかるということもよくある。


「なんで?」

「確か、クラスの女子を統制してたからとかだった気がする」


 学校で「統制」って言葉を聞く機会がくるとは思わなかった。


「クラスの中心人物になるタイプの人ってことね」

「そういうこと」


 隼人は持ち前(香澄によって鍛えられた)の適応能力ですぐに納得する。


「じゃあ、もしかしたらこのクラスも木原さんに支配される可能性がある、と」

「可能性はあるけど、前よりは低いと思うよ。だって、住友さんがいるから」

「どういうこと?」

「知らない? 住友さんは、前のクラスではクラスの中心人物で、みんなをまとめてたんだよ」


 へーそうなんだ、香澄すご。


 隼人はちょっと感動した。

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