恋人に報告

「私? 私は、超嬉しい」


 何人かが香澄を好きだと言っていたと伝えて、本人の意見を尋ねると、香澄はそう言った。


「嬉しいんだ……」


 隼人には関係ないはずだが、どうしても気分が落ち込んでしまう。


「隼人くんに好きって言ってもらった時が一番嬉しかったけどね」


 悪戯っぽく微笑んだ香澄に、隼人は割と本気で安心する。


 隼人は結構嫉妬深い性格だった。


「俺、ちょっと焦ってる」

「え? 焦ってる?」

「香澄が他の誰かに取られたらどうしようか、って」


 隼人は自分の想いを打ち明ける。


 香澄と付き合い始めてから、隼人の想いに歯止めが利かなくなっている。付き合ってるんだから好きにしていいだろの精神が働き始めている。


「隼人くん、大丈夫。私は隼人くんが一番好きだから」

「でもいつかその気持ちは変わるかもしれない」

「私はそういう時はちゃんと別れを切り出すタイプだよ」


 さらっと恐ろしいことを言いつつ、隼人が知らないうちに他の人に気持ちが向くよりはまだ残酷じゃない。


「そんなに心配なら、隼人くん頑張って私の気を引いてね」


 こういうところ魔性だよな、と隼人は内心で恐れた。

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