クラス分け

「あ、愛華ちゃんだ」

「愛華……誰?」


 香澄がクラス表を確認していると、隼人の知らない名前が複数出てくる。


「愛華ちゃんは、この前言ったバイトやってる子だよ」


 香澄がそう言って、隼人は慌てて周囲を見渡す。


 先生の姿は周辺にはなかった。胸を撫でおろす。


「フルネームは確か、木原愛華ちゃんだったかな」

「木原さんね、了解」

「愛華は……私は本当は隼人くんに会わせたくないんだけど」


 意味深な言葉に隼人は少し疑問を感じたが、香澄への信頼からひとまずスルーする。


「会ってほしくないなら、できるだけ話さない方がいい?」

「避け続けるのも不自然だし、仕方ないよ。でもできるだけ私がいるところで話してほしい」


 香澄がこんなに警戒するとは、木原愛華はいったいどういう人間なのか、隼人の謎は深まるばかりだった。

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