意識

「で、初デートってのはどういうこと? クリスマスにもデートしたし、他にもわりと出かけてない?」

「映画始まる前のことなんてよく覚えてるね……」


 隼人が映画前に感じた違和感について問いかける。


「えっとね、それは気持ちの問題っていうか」

「気持ち?」

「その、前は隼人くんのこと意識してなかったけど……」


 続く言葉を言う前に、予想した隼人が赤面する。


 だが、それで言葉を止めることはない。


「今は、隼人くんのことめっちゃ意識してる」


 ついに告げられた香澄の言葉を聞いて、隼人は周りを見渡す。


 幸いというべきか、誰も二人の会話を聞いてはおらず、隼人は胸を撫でおろす。


「意識してるって、なんでそんな突然」

「終業式の日、相坂くんに告白されたって日向が言ってたじゃん。その時、好きな人っていうのを想像しちゃって」


 香澄も赤面する。

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