君だけがいない夜

 家に帰ると香澄はいなかった。


 そりゃそうだ、ついさっき解散して実家に帰ってしまったのだから香澄がいるわけがない。


「あー洗濯めんどくせー……」


 香澄がいれば分担できていた家事が、春休みの間は分担できない。それが思いのほかきつかった。


「今日はいいや、寝よ」


 ……。


 寝室に戻ろうとして、途中で立ち止まる。


 ここで洗濯をせずに寝てしまったら、明日からも散らかった状態を許容してしまうような気がする。


 香澄が帰ってくるときに家が散らかっているのは嫌だ。


 隼人はその一心で引き返した。

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