注文

「やっぱマグロだよな寿司といえば」

「さっきまであんなに反対してたのにノリノリじゃねえか」


 岳は寿司でいえばマグロが好きだ。


「マグロもいいけど、私はサーモンの方が好きだな」

「私はとりあえず卵頼んでおいて」


 香澄と日向もそれぞれ思い思いの寿司を注文し、残るは隼人。


「隼人くんはなに頼む?」

「うーん、そうだな……」


 寿司屋に行きたいと漠然と思いはしたものの、なにを食べたいみたいな希望は特にない。


 隼人はメニューを眺める。


「じゃあ、俺もサーモンで」


 悩んだ結果隼人はサーモンを注文する。


 その後、隣に座った隼人の耳元に香澄が口を寄せる。


「お揃いだね」


 小声で告げて、すぐに身体を離す。


 隼人はもはや香澄のそういう行動になにも感じなくなった。

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