口論

 夕食決めでは、様々な案が出た。というか結構荒れた。


 隼人は寿司が食べたいから回転寿司。岳は肉が食べたいから焼肉。香澄は値段を気にして例のイタリアンレストラン。日向は和食を希望した。


 様々な案が出ること自体は悪いことではない。


 だが、全員が自分の希望を譲らなかったため、夕食決めは荒れた。


 隼人はどうしても寿司が食べたかったし、岳はどうしても肉が食べたかった。


 一番最初に譲ったのは、日向だった。


「私はどうしても和食が食べたいってわけじゃないし、三人の食べたいものでいいよ」


 日向が譲ったためか、次に香澄も続けた。


「私も、そんなにお金がかからないなら別にイタリアンレストランには限らないよ」


 そこまではよかった。


 しかし、隼人と岳は互いに譲らなかった。


 隼人はどうしても寿司を食べたい気分だったし、岳はどうしても肉を食べたい気分だった。


「肉の方が美味いじゃん!」

「どっちが美味いかは主観になるから、普遍的な基準で考えよう。値段が安い寿司の方がよくない?」

「いや、多面的に考えたとき、焼肉屋の方がここから近いし交通費も含めて考えれば焼肉の方が安い」

「いやいや、高校の最寄り駅の近くに回転寿司があるから交通費はそんなにかからない」


 口論ともいえるほどの話し合いの結果、値段的に見て負担の少ない回転寿司へ行くことになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る