ぐ~るぐる

 岳が遠慮なく回す。


 日向も一緒になって回し、香澄も一緒になって回す。


 だが、三人が回すのに集中しているせいで、コーヒーカップではなく目を回している隼人に気づかない。


 隼人は三人に声をかけるべきではないと考え、喉元まで出かかったものを飲み込む。


 バリバリ酔って気分は最悪だが、三人が楽しそうにコーヒーカップを回しまくっていて声をかけるのは邪魔になってしまいそうだ。


 結局三人は最後まで隼人の酔いに気づくことはなく、残酷と言えるまでにコーヒーカップを回し続けた。


 隼人がなにも言わなかったのが悪いのだが、おかげさまで隼人は瀕死の状態。


「えっと、隼人くん、ごめんね……」


 最初に気づいた香澄が、申し訳なさげに頭を下げる。


 隼人は自分に責任があることはわかっているので気まずそうに俯いて、口からこぼれてはいけないものがこぼれそうになって上を向く。


「おっ、おお……。とりあえず落ち着けてもらって……」


 香澄が話しかけてまずいことになりかけたので、岳がいったん話を止めた。

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