適材適所

「隼人起きろ」


 岳に声をかけられて、隼人の意識はようやく浮上した。


 しばらく周囲を見渡す。


「俺、どうしてた?」


 結局状況が呑み込めなかったのか、隼人は他の三人に尋ねた。


「電車で寝てただけだよ」


 三人を代表して香澄が答える。


 隼人は目を逸らして頬を掻く。


 しかし三人はそんなことなど一切気にも留めていないらしい。


「じゃ、行こ。一応終点だけど、早めに降りよ」


 日向の合図で岳と香澄も歩き始め、自分だけ気にしているのも馬鹿らしくなって、隼人は三人の後を追う。


「誰か道わかる?」


 日向が先頭に立ったにも関わらず日向は道がわからず、他三人に尋ねた。


「私わかるよ」


 ここで、頼りになる香澄が名乗り出る。


 香澄は頼りにならない時もあるが、この四人でいる時はいつもより心強い気がする。


「じゃあ香澄、よろしく」

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