案外変わらない日常

 翌日、岳が隼人への態度を特別変えることはなかった。


 香澄について聞くこともなければ、嫉妬を露わにすることもなく、ただ普段通りの態度を取った。


 人間関係ってこういうものなんだな、と隼人は新たな知識を得る。


 何事もなく授業は終わり、隼人は下校しようと、人に揉まれながら階段を下りる。


「隼人」


 階段を降り終わると人は減り、聞きなれた岳の声が聞こえた。


 隼人は声の聞こえた方を振り向く。


「昨日の話の続きをしよう」


 隼人はその言葉に香澄の話を思い出し、聞きたいこともあるしと人込みを避けつつ岳の方へ歩み寄る。


「今日は部活ないのか?」

「うちのテニス部はゆるゆるだから。週三で休み」


 隼人の何気ない質問に岳も何気なく答えつつ、二人は下駄箱への道を離れる。

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