指摘

「あと隼人くん、こういうことは本人にはあんまり伝えない方がいいと思う」


 香澄からの人間的な指導が入った。


「こういう経験が少ないなら仕方ないかもしれないけど、岳くんは他人に話してほしくないと思うから、今度からは気を付けた方がいいんじゃないかな」

「あー、そうだったのか……。ありがとう、香澄。今度から気を付ける」


 香澄の指摘に、隼人は素直にうなずいた。というのも、隼人はこのことを香澄に伝えるべきか少し迷っていたからだ。


 香澄がこのことを他人に伝えるのは悪手だと説明してくれて、隼人はようやく正しい選択を知ることができた。


「それじゃあ、そろそろ片づけにするか」

「そうだね」


 二人は息ぴったりに席を立つ。


 もしこの姿を岳が見たら、二人の仲の良さに苦い顔をするだろう。

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