ってことがあったんだけど(禁じ手)

 学校が終わり、隼人と香澄はいつも通り夕食の時間にゆっくり会話をする。


「そういえば今日俺が相坂と話してたじゃん?」

「うん、そうだね。なんの話してたの?」

「それが――」


 隼人は、相坂との会話を忠実に再現した。


 香澄は聞きながら「これ聞いていいやつかな……」と思ったが、あえて隼人の会話に割り込むことはしない。


 やがて隼人の話が終わり、隼人は香澄に意見を求めた。


「これ、どういうことだと思う?」


 香澄は自分の考えを正直に伝えるべきか迷う。これは岳にとって、他人に知られたくないことであるのは間違いない。


 しかし、隼人がなにも知らないのも微妙に可哀そうだったので、自分の考えを話すことにした。


「たぶんなんだけど、相坂くんは私のことが好きなんじゃないかな……? ただの私の思い違いかもしれないけど」


 それを聞いても隼人はぴんと来ていない様子だったので、香澄はより詳しく説明する。


「相坂くんはたぶん私が隼人くんと出会う前から私のことが好きで、それで私と急に距離を詰めた隼人くんに嫉妬してる……んだと思う。全部私の推論だけど」

「え、相坂が香澄のことを? なんか意外」


 隼人は、相坂は恋愛に興味のないタイプだと思っていたし、好きな人がいるとしても日向だと思っていた。

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