気まずい

「隼人くん……。お、おはよう……」

「か、香澄。おはよう」


 互いに目を真正面から見ることなく挨拶する。


 昨日のことがあり、二人とも互いを直視するのは難しくなっていた。


 会話もぎこちなくなり、日常生活を送るのも怪しい。


「えっと、朝ごはん、作るね……?」

「あ、いや、俺が」

「じゃあ、二人で作ろっか」


 二人で朝食を作るくらいいつも通りのことだが、なぜか今日は二人とも顔を真っ赤に染めて俯く。


 この場に岳か日向がいたらずけずけと突っ込んで空気を転換するのだろうが、残念なことに二人ともいない。


 見ている側が気恥ずかしくなるような空気間の中、二人はぎこちなく朝の用意を進めた。

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