誤解

「なんか二人、距離できてない?」

「「!?」」


 日向が指摘すると、二人は同時に肩を跳ね上げる。


「ごめん、わたしの気のせいかも」


 そんな二人の様子を目の当たりにして、日向は二人の息がぴったり揃っていることを実感して言葉を取り消す。


 その様子を横から見ていた岳もやれやれ肩を竦める。軽く呆れているようだ。


「いや、その、距離ができてるわけじゃなく、なんて言うんだろう……」

「そうそう、私と隼人くんはすごく深い仲なんだから!」


 日向と岳の様子に目もくれず、隼人と香澄は必死に言い訳をする。


「わたしの気のせいだって」


 日向は苦笑いしながらそう言った。


 そして日向はいつも通り買ってきたパンを開け――


「え、深い仲?」


 自分の耳を疑った。


 ただ単に仲がいいだとも捉えられるが、深い仲というのは既に情交を結んだ男女の仲を示すこともある。


「ふ、普通に仲がいいだけだ」


 隼人は動揺しながら香澄をカバーした。


 その動揺具合に、岳と日向は少し訝しんだが、見て見ぬふりをした。

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