諦められた

 週末の公園、子供たちが遊ぶ中で高校生が二人でバドミントンをしていた。


「隼人くん下手すぎてどこから教えたらいいのか……」

「香澄までそう言うってことは、かなりひどいんだな」

「はっきり言って救えないね」


 隼人は頭を抱えた。


「とはいえ教えられるだけ教えるけど」

「それは助かる」


 香澄の言葉に隼人は心のなかで感謝して、ラケットを握り直す。


 数分後、圧倒的大差で香澄に敗北。


「やっぱ私一人で隼人くんをどうにかするのは難しいかも……。そうだな、日向と相坂くん呼ぼうかな」

「え?」


 隼人が首をかしげる。


 香澄がなにやらスマホを操作しているのを黙って眺める。


「日向も相坂くんも来れるらしいから、三人で頑張って隼人くんにバドミントンを教えよう!」


 休日に突然友人を呼び出すことができるその力に、隼人は陽キャと陰キャの壁を感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る