陽キャ見参

「香澄おはよ。休日の朝早くからバドミントンって、びっくりした」


 香澄が連絡をした二人のうち、先に来たのは日向だった。


「隼人くんが思った以上にその……」


 いくら隼人相手でもこの続きを言うのはさすがに憚られるのか、言葉に詰まる。


「下手」


 隼人は自分がバドミントンが下手だということになんの異論もないので、香澄の代わりにそう示す。


「そう。それで、私一人の手には負えなくて。バドミントン部の日向が来てくれて助かったよ」


 香澄の言う通り、日向はバドミントン部に所属している。


 彼女にとってバドミントンとは、いわば本職だ。ちょっと下手な人を普通のレベルまで引き上げるくらい赤子の手を捻るよりも簡単。


 ただ、隼人はそのことは初耳である。


「え、田圃さんってバドミントン部だったんだ」

「言ってなかったっけ?」

「聞いてない」


 そっかそっか、と笑顔で適当に流す日向の姿を見て、隼人は陽キャの適当さをその身に味わった。

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