クリプレ
「それじゃあ、せっかくここまで来たし、今月ももう終わるし、買い物しちゃうか」
「そうだね。どのくらい余裕ある?」
香澄に尋ねられて、隼人は頭の中に家計簿を思い浮かべた。
「貯金したい分を別にすると、三千円くらい。大したものは買えないな……」
「とりあえず、ショッピングセンターに行ってみたらなにか買いたいものが見つかるかもよ」
隼人と香澄は、駅の近くにある大きなショッピングセンターに行ってからなにを買うか決めることにした。。
冬の冷たい空気に慣れた彼らが屋内に入ると、屋内は想像よりも暑くて二人は上着を脱いだ。
「暖かいんだけど、手はなかなか温まらないよね……」
「そう? 俺はそんなに冷たくないけど」
隼人はそう言ってから、自分だけが手袋を付けていたことを思い出し、謝る。
「買うもの、決まったな」
「え?」
「手袋はこれからの季節必要だろうから。三千円くらいあれば、安いものなら買えると思う」
隼人は、香澄が言葉の意味を理解していないと思い、どういう意図で言ったのか説明した。
「いやいや、そういう意味じゃなくて。わざわざ買う必要は無いから」
「でも、手袋無いと手が冷たいんじゃない?」
「大丈夫。そのくらいはどうにでもなるよ」
香澄は、自分の所為で家計に負担をかけるわけにはいかないと思い、遠慮する。
「ただ住友さんの手が冷たそうだとこっちが心苦しいから」
香澄はそれでも遠慮したが、隼人が無理やり押し切って、二人は良い感じの手袋を探すことにした。
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