光の海

「まさに、光の海だね」


 隼人と香澄が一緒に見つめた先には、白、青、黄色、無数の光が広がっていて、あまりに眩いその光に、二人は目が眩んでしまいそうだった。


「来てよかった」


 周りの人たちも、隼人や霞と同じようにうっとりと光の海に見惚れている。それだけイルミネーションは美しかった。


「私も、来てよかった」


 二人は、ものすごく綺麗な淡い光に包まれながら、語彙力を失っていた。


「感動で語彙力を失うことって、本当にあるんだな……」


 隼人の呟きに強く同意するように、香澄は首を深く縦に振る。


 それから、二人はなにを言うでもなく眩い光を眺める。


 この光を見るのに、この光の美しさを共有するのに、言葉は必要ない。むしろ、余計な言葉は邪魔になる。


 互いにそう思ったのか、二人は言葉を交わさなかった。

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