女子は肩も柔らかいと思ってた

「わ、めっちゃ凝ってる……」

「でしょ。本当に重いんだからね、持ってみる?」

「それ冗談で言ってるんだよね?」


 冗談だとしたら避けた方がいいという意図で告げた隼人。


「いや、清原くんならいいかなあと思って言ってる」


 その一言で、隼人は暴れだしそうになる。


 なんとか堪える。


「そういうのは避けた方が安全だと思うんだけど……」


 そう言いながらも、隼人は嬉しさを表情に滲ませながら香澄の背面に回り込んで肩に手を添える。


「ありがと。参考にするね」

「それ、参考にしないやつじゃん」


 隼人は笑いながら香澄の肩を揉む。


「ひゃぁっ」

「あ、ごめん。痛かった?」

「大丈夫。ちょっとくすぐったかっただけ」


 あーなるほど、ラブコメではこういうことあるよなあなんて考えながら隼人は香澄の肩を揉む。


「かなり凝ってるね」

「両胸で二キロぐらいあるらしいよ」

「……参考にしてないじゃん」

「まあまあ、同棲してるくらいだから変わらないって」


 隼人は、自分が振られた結果こうなっているということが理解できなかった。

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