最近話題の、妻の負担が大きすぎるやつ
十二月二十四日。
その夜は聖なる夜とは言いつつ、日本においてのその実態は、ただ人々がお祭り気分に浸りたいだけ。
それは隼人と香澄も例外ではなく、クリスマスイブにかこつけてイルミネーションを見に行くことになっていて、それを楽しみにしていた。
特に隼人は、冬休みだというのに課題に手も付けずゲームをするでもなく、ただ布団にくるまって夜が来るのを楽しみにしていた。
「なにも手につかない……」
一方香澄は、隼人が起きてこないのを少し不審に思いながら、休ませてあげようと一人朝食を作っている。
隼人はそんなこと気づきもせず自堕落に転げ回っていたが、台所から良い香りが漂ってくるのを感じると、焦って身体を起こして部屋の扉を開き、台所を覗く。
そこには二人分の朝食を用意し終わり、部屋着の上に着たエプロンを畳む香澄の姿があった。
彼女が隼人の姿に気づく。
「あ、清原くん起きた?」
「ごめん、さっきから起きてたけど手伝えなくて! なにか手伝うことある!?」
「ああいや、そんなに焦らなくていいよ。あとは食べるだけだから、椅子に座って」
隼人は香澄に促されるまま、香澄が座ったのを確認してからダイニングの椅子に腰を下ろす。
「本当、ごめん……。なんでもするから許して」
「なんでも?」
再度確認するように尋ねられ、少し迷うが……朝食を作る手伝いをしなかった自分が悪いと思いなおし、頷く。
「…………なんでも」
隼人は、香澄のことだからと安心しながらも、一体なにを言われるのか恐れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます