一緒に風呂入る展開を期待してたのに
「ふう……」
浴室いっぱいの湯気が立ち上る、浴槽いっぱいに張られた熱いお湯。
冬の季節には欠かせない熱いお風呂で、隼人は一息ついていた。
「いくら魅力的な人とはいっても、一日中一緒にいるとちょっと疲れるな……」
たとえ家族と一緒に暮らしていても疲れるのだから、それが他人に変わったらより疲れるのは間違いない。
しかも、このことを他人に言ったらそれ相応の罰、酷い場合では退学もあり得るということを考えると、かなりの負担だ。
「でも嫌じゃないし、住友さんの方が苦労してるだろうし」
だから隼人は弱音を吐こうというつもりにはならなかった。
実際のところ、一緒に住むことを決めたのはあくまで香澄であって隼人はその被害者と言ってもいい立場にいるのだが、隼人はそんなことは気にしていなかった。
「そう、嫌じゃないんだよ」
香澄と出会うまでは退屈な日常だったが、香澄と出会ってからは退屈していない。そのことが、嫌どころか嬉しかった。
「ま、今日が終わってから考えるか」
まだ出会ってから一週間も経っていなくて、隼人は香澄のことをすべて知っているわけではない。
嫌だったら直接そう言おうと結論づけて、隼人はお風呂から上がった。
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