お、お風呂……!?

「風呂、いつ入る?」

「えっ!?」


 香澄は一緒に入るのかと勘違いして驚いた声を出したが、すぐにそんなわけないと気づく。


 隼人は、香澄がどのタイミングでお風呂に入るのか尋ねたつもりだったので、驚いたような反応をされて少しのけ反る。


「俺の前か、俺の後か。入らないってのはなしだと思うけど……」

「ああ、そういうこと……。後が良いな」


 香澄は、隼人が気遣ってくれたことに気づいていた。


 一緒に住む以上、一人ひとりお風呂のお湯を入れ替えながら入るわけにもいかない。そこで、選択権を香澄に委ねたのだ。


 香澄はといえば、一緒に住むなら必然的にお風呂を共有しなければならないということが頭から抜け落ちていて、少し焦っていた。


「そっか、じゃあ今から入ってくるから、風呂の準備しておいてくれ」

「わ、わかった……」


 隼人は、なぜ香澄がこれほど慌てているのか理解出来なかった。


 しかし、男子にはわからないなにかがあるのかもしれないと思った彼は香澄に詳しく尋ねることはしなかった。


 結果、少し気まずい空気のまま彼は風呂に向かうこととなった。

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