お食事

「手伝ってくれてありがとう。思ったよりスムーズに準備が出来て快適だ」


 オムライスを運び終え、いただきますの挨拶も終えた隼人は率直に感謝を告げた。


 その言葉に香澄は笑って頷く。


「私も、共同作業だと楽なんだなって思った」


 言ってから香澄は完成品のオムライスを口に含む。


「ん、美味しい」

「じゃあ俺も食べようかな」


 香澄に次いで隼人もオムライスを食べる。


 隼人では出せないような卵の柔らかさがまず第一に口腔をある意味で蹂躙する。


 次に、玉ねぎが甘くて美味しい。


 後はケチャップの味。


「一人で作るよりも美味しいかも」

「うちで使ってた米と清原くんの家の米、ちょっと味が違うな。前のはすごく美味しかったけど、こっちも結構美味しい」

「うちは米だけはこだわってるから」


 香澄は心の中で米だけかと思ったが、冗談だと受け取ってにこやかに笑った。


「米以外も美味しいけどね」

「米以外もこだわってるから」

「米だけじゃないんかい」


 複数人での夕食は、隼人と香澄の想像以上に心温まるもので、その日の清原家は温かみに満ちていた。

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