共同作業

 それから数時間が経ち、そろそろ夕方と呼べるような時間帯になって、隼人は恐る恐る香澄の部屋の扉をノックした。


「どうぞー」


 香澄からの返事を聞いて、隼人はゆっくりと香澄の部屋の扉を押し開ける。


 香澄は机に向かって日記をつけていた。


「住友さん、作業中悪いけどそろそろ夕飯作らない?」

「そうだね、そうしよっか」


 香澄はスマホを取り出し時計を確認して、隼人の言葉に同意し椅子から立ち上がった。


「じゃあ、俺先に台所行っとくから、適当なタイミングで来てね」

「わかった、すぐ行くね」


 隼人は台所に向かったが、香澄は思っていたよりも早く台所にやってきた。


「今日のご飯なににしよっか」

「住友さん、なにか苦手なものとかない?」

「私は、特には。なんでも食べられるよ」


 隼人はまず冷蔵庫を開いて食材を確認する。


 まず真っ先に目に入ったのは、大量の卵だった。


 これは、使用頻度が高いからと香澄が大量に購入してきたものだ。


「この卵、使うか。卵使う料理で好きなものは?」

「うーん、オムライス?」

「じゃあ、ご飯……あれ、炊けてる」

「暇だったから炊いといたよ」


 それから彼らは手順通りに料理を進める。


「いやあ、初めての共同作業だね」

「買い物は作業って読んじゃ駄目?」

「駄目」


 謎理論が展開されたが、香澄が気の利いた下準備をいくらか行っていたため、隼人は想像よりもスムーズに料理に取り組むことが出来た。

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