言葉の暴力

「住友さんはどうなの?」

「私? 清原くんに距離を取られたら、泣いちゃうかも」


 香澄は冗談めいた風に言った。


 隼人は、泣いてしまうという部分が冗談だとはわかったが、隼人に距離をとられると悲しいという感情が伝わってきて、地に足がつかなくなった。


「ふうん、そっかあ……!」

「清原くん、ニヤニヤしてるとちょっと気持ち悪いよ」


 純粋な言葉で殴られて隼人は悲しくなった。


 冗談だとわかっていても傷つくことはある。


「とにかく、支えてくれてありがと」


 香澄の謝罪により、隼人の心は再生した。


 やはり男とは単純な生物だ。


「住友さんに怪我がなくて良かった」


 隼人と香澄は何事もなかったかのように家に上がり、それぞれの部屋に入って行った。

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