引っ越し

 引っ越しは翌日のうちに、隼人と香澄のたった二人の手によって行われた。


 幸い、香澄の家にあるものは少なく、そのうちの大半を家具が占めていることから、隼人の家にも家具くらいあるので、運ぶものも少なくて済んだ。


 香澄の私物で運ぶ難易度が最も高かったのは、衣類が入った小さな箪笥だったが、これに関しては案外重かったのでさすがにタクシーを頼った。


 双方タクシー代は自分が払うと意地を張り、運転手の迷惑になってきたタイミングでようやく割り勘することに決定した。


 香澄の私物を、香澄の家と同じように整然とした隼人の家の、空き部屋の一室に運び込むと、


「じゃあ、ここが住友さんの部屋。風呂とトイレは……」


 隼人は自宅の間取りに関して、香澄に説明を始めた。


 隼人は念のため香澄の部屋を自分の部屋から少し離れた場所に設置することにした。理由に関しては、隼人の名誉のために割愛する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る