(十六)
とうとうパーティー当日になった。私達は昨日コン君からもらったドレスとタキシードを見に
慣れないヒールとドレスで竜宮城までの道を歩いた為、到着した頃にはかなり体力を
竜宮城の前には沢山の動物達が既に並んでいた。どうやら開門までもう少し時間があるようだ。
「お姉さん……」
陽菜ちゃんが少し苦しそうに私を呼ぶ。
「
そう言って痛そうに
「ほら、これ貼っとけよ」
悠稀君が絆創膏を陽菜ちゃんに渡す。私の驚いた表情とは裏腹に、悠稀君は至極当然と言った顔をしている。
「こう見えて『女子力』高いからな。にしても、美麗が持っていないなんて意外だったな」
「はいはい。女子力が低くて悪かったですよーだ」
「お兄さんもお姉さんもありがとう」
「どういたしまして。美麗は貼らなくて平気か?美麗も新しいヒールでここまで来たんだ。足、痛んでないか?」
「ううん。大丈夫。ありがとう」
「二人とも、痛くなったらすぐ言えよ」
「「はーい」」
私と陽菜ちゃんは大きく返事をする。そんな私達にうんうんと頷いている悠稀君は、まるで私達のお父さんのようだった。
「「皆様、お待たせ致しました」」
「「只今より、パーティーを開催致します」」
「いよいよだな」
「うん」
「緊張するなぁ」
「大丈夫。まずはパーティーを楽しもう。ね?」
「そうだ。取り敢えず条約のことは後回しだ。いつもそうだろ?まずは楽しむ。その為の世界なんだからな」
「うん!そう言われたら、何だかワクワクしてきた!」
「だね!早速中に入ろうか」
重厚な扉が二匹のケンタウロスによって開かれる。そして、並んでいた動物達がゆったりとした足取りで中へと入っていった。流石は秩序を重んじたイギリス式のパーティーである。皆正装で参加しており、どんちゃん騒ぎになることもまずなさそうだ。動物達の正装姿は少し面白いけれど。
最初の一時間程、私たちはパーティーを盛大に楽しんだ。豪華な魚料理や、貴重な果実のジュースなど、色とりどりで美味しそうな食べ物に囲まれ、ダンスを
そして、パーティーの盛り上がりも最骨頂に達した頃、ホールの正面にある金色の扉がゆっくりと開かれた。扉から出てきたのは、アリシス様だった。
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