(十三)

 翌日、私達はコン君から教えてもらったパーティーの参加者名簿に名前を書きに掲示板へ向かった。

 途中、また嘘つき竜に出会い例の如く嘘をつかれたけれど、ただの雑談だったので十分ほど雑談してから先へと進んだ。

 竜宮城の近くにある『海』一番の掲示板の前にはたくさんの動物たちが並んでいた。どうやら全員パーティーの参加希望者のようだ。


「恐ろしいほど混んでるな」

「ね。こんなに人気があるパーティーだったとは……」


 私たちは会話こそするものの、昨日の夜のことが頭から離れず目を合わせられない。そんな私達のもじもじした様子を、陽菜ちゃんは面白そうに見ている。


「ねぇねぇ二人とも。名前を書くまでしばらく時間がかかりそうだから、ゲームしようよ」


「いいよ。何しようか?」


「あっち向いてほい!」


「あっち向いてほいって、流石は小学生だな」


「もう、お兄さん馬鹿にしないでよね!あっち向いほいだって、本気でやれば意外と楽しいんだから!じゃあまず、お兄さんとお姉さんからの勝負ね」


「え、ちょ、もうやるのかよ」


「いいからいいから。はい最初はグー。じゃんけん」


 陽菜ちゃんに言われるがままに手を出す。私はパー。悠稀君はチョキ。どうやら陽菜ちゃんルールでは、勝った人が指差しをするようだ。……恐らく陽菜ちゃんの中では、どちらが勝つかはあまり重要ではないのだろう。私と悠稀君が、ちゃんと目を合わせることが何よりこのあっち向いてほいでは大事なのだ。そんな陽菜ちゃんの策略に苦笑しつつ、何だかんだ私と悠稀君、そして陽菜ちゃんは白熱した試合を繰り広げた。


 そんなこんなで私達の順番が来た。どうやら名前と現在住んでいる(滞在している)場所を書くと、明日招待状が届くようだ。早速私達は各々の名前と旅館名を書き、旅館へ戻った。

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