(八)
プシュー。
気の抜けるような音がして、ホームにあの時と同じ電車が止まる。私達は折角だから新しい三人を見ようとこのホームまでやってきたのだった。
そして降りてきた三人を見て、陽菜ちゃんがあっと叫ぶ。三人のうち一人が、同じクラスの子らしいのだ。その子も、不登校。話したことは数回しかないが、確かに同じクラスらしい。
後の二人は全く知らない子達だった。皆女の子。中学二年生と高校三年生だ。悠稀君は男の子がいない、とつまらなそうな顔をしている。
彼女達も妖精達から『自分の欠片』の説明を聞く。そして改めて、私たちは自己紹介をした。
「私は
流石高校三年生だけある。雰囲気といい話し方といい先輩らしい雰囲気がある。
「わ、私は
つっかえつっかえだが中学二年生らしい元気のある、
「……
最後に自己紹介をしたのが陽菜ちゃんのクラスメイト。陽菜ちゃんは心做しか神妙な顔をして彼女の自己紹介を聞いていた。きっと、彼女がなぜ学校を休んでいるのか、その理由を本人から聞く事が出来たからだろう。
そして陽菜ちゃんはゆっくりりりかちゃんの方へと近づき、手を差し伸べた。
「りりかちゃん。私同じクラスの陽菜。この世界で、会いたくなかったかもしれないけど、私は会えて嬉しいよ。改めて、よろしくね」
りりかちゃんは目を見張っていたが、やがておずおずと陽菜ちゃんの手を握り返した。
私達四人は、
「ねえ、今の妖精さん達から聞いた『自分の欠片』の話あったじゃない?良かったら、一緒に探さない?三人より六人の方が効率もいいし、お友達も増えるしさ」
そう提案したのは瑠璃さんだった。確かに六人の方が早く見つかる可能性が高い。私は賛成だと言おうとしたと同時に、口を開けた人がいた。……悠稀君だ。
「俺は遠慮するよ。
ちょっと気取った話し方をしているのは、彼なりの気遣いだろうか。しかし私は見逃さなかった。彼が浮かべる、少し寂しそうな笑みを。悠稀君は自分の感情が表に出ていないと思っているらしいが、そんなことは全くない。むしろ分かりやすいくらいだ。まあそれは、私が人の表情ばかり
陽菜ちゃんも少し寂しげに悠稀君のことを見ていたが、一度言ったら戻って来ない事はこの二週間で彼女も学んだらしい。満面の笑みで
「行ってらっしゃい」
と言って送り出していた。悠稀君は振り返らずに手をひらひらと振って去っていった。
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