(七)
雲の世界 八日目
今日は小説の構成を少し考えました。と言っても何を題材にするかという大まかなものですが。お姉さんは自分の経験を活かして小説を書いているらしいです。だから、私も不登校のことについてのお話を書きたいと思います。お姉さんのまねみたいになってしまうけれど、お姉さんに聞いたらいいと思うと言ってくれたので、この構成で書こうと思います。早く書きたくてうずうずしています。その為にも色々と感情や何があったかなどをこのノートに記録します。
雲の世界 九日目
もう、今が『ここ』の世界で何月何日何曜日なのか忘れかけています。それくらいここに長くいるし、それくらいここにいる時間は早く感じられます。楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。もし、今ここが学校だったら時間はもっと長くゆっくり流れていたと思います。今日はお兄さんとお姉さんが買い出しに春の旅館に行っていました。私も行きたかったけれど、少し遠いのでお留守番です。お兄さんは原付バイクというバイクのしかくをとっているそうです。かっこいいなと思いました。
雲の世界 十日目
ここの世界にも大分なれました。今日は、お兄さんたちが昨日買ってきてくれた春の野菜で朝ごはんと昼ごはんを作りました。どれも新鮮で、秋の野菜とはまたちがう美味しさがあってとても良かったです。お姉さんに、本を書くには記録はもちろん、自分も本を読んで、言葉を知ることが大切だと教えてくれました。早速明日は図書館に行って本を借りてこようと思います。おやすみなさい。
雲の世界 十一日目
もう少しでここに来て二週間がたちます。もうそんなにたつのかと、すごくおどろいています。昨日決めたように、今日は図書館に行きました。いつも借りている『黒魔法使い☆ユリカ』ではなく、少し難しい、お姉さんが読む文庫本にチャレンジしてみました。内容がわかりやすいものをお姉さんがえらんでくれたのでそれを読んでみようと思います。何故かお兄さんもお姉さんに本をえらんでもらっていました。少し面白かったです。
雲の世界 十二日目
お姉さんからすすめてもらった本が面白すぎて、夜ふかしして一気に読んでしまいました。だから今日はねぶそくです。だからみんなでおひるねをしました。秋の旅館の気候はおひるねにちょうどよくて、二時間も寝てしまいました。また夜眠れなかったらこまってしまうけれど、そうしたらまたお姉さんからおすすめの本を聞こうと思います。
雲の世界 十三日目
今日はまた夏の旅館に行ってプールに入りました。お兄さんは今日は海の気分だと言っていたけれど、プールに行ったら行ったで楽しそうだったので何よりです。お姉さんがこの日記をのぞいた時に、「小学四年生に楽しそうでなによりって言われてるよ」とお兄さんに笑って話していました。お兄さんは少しすねたような顔をしていたけれど、お姉さんと私は静かに笑いました。楽しい時間でした。お兄さんも、その時間が楽しかったのではないかと思います。
雲の世界 十四日目
とうとう雲の世界に来て二週間がたちました。不登校で二週間学校に行かないのと、雲の世界にいて学校に行かないのでは全く気持ちが違うということに気がつきました。今は毎日が楽しくて明るくてキラキラしています。一生この時が終わらなければいいのに。そう思っています。いつまでしかいられないとは言われていないけれど、どこかで必ず終わりが来ると思うとどうしようもなくさびしいです。お兄さんもお姉さんも、きっとどこかでそう考えているのではないかと思います。そうだといいなという私のねがいももちろんあります。
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