心と心 2023/12/12

 信頼しあう二人が、心と心を重ねないと使うことが出来ない剣がある。

 子供の頃にそんな事を聞いて、なんてカッコいい剣なんだと思った。

 それを親に言うと、信頼出来る人が出来たら使わせてくれると約束してくれた。

 それを真に受け、信頼出来る人を探した。

 子供だったのだ。


 けれど、簡単に見つからないからこそ、信頼というのは尊い。

 それに気づいた大人になってからも、探し続けたが見つかることはなかった。

 諦めかけたその時、彼女に出会った。


 初めて会った時は、ただの知り合いの知り合いだった。

 だが、何回か会い、話をしているうちに意外にも話が合い意気投合した。

 そして信頼関係を築くのに時間はかからなかった。


 彼女と出会った2年後、ついに例の剣を握れる日がやってきた。

 そのとき、初めて剣の話をした。

 馬鹿にされると思ったが、実は自分も…と言って恥ずかしそうにしていた。

 似た者同士のようだ。


 式は順調に進み、係の者から例の剣が渡される。

 一緒に頑張ろうね。

 彼女は俺だけに聞こえるようにささやく。

 彼女と一緒にこの日を迎えたことを、心の底から嬉しく思った。


「次は、新郎新婦のケーキご入刀です。

 皆様、ご祝福下さい」


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