透明な血

 逃げられるとでも思ったか。


 人を手にかけ、裁きも受けずのうのうと生きるごみを、天が見逃すと思うか。

 どれだけの善行を積もうが、虐げられた者達には恨みや憎しみが募るだけ。どれだけ目を逸らそうとも、彼らは絶対にお前を逃がさない。真面まともになったと錯覚すればするほど、お前は自分の犯した過ちの大きさに恐れを抱くだろう。

 その恐れに身を焼かれようが、お前の罪は消えない。憎しみの連鎖は終わらない。お前の不幸を待ちわびる者が居る限り、一生続くのだ。


 お前の罪は消えない。

 お前が生きようが死のうが、運命からは逃れられない。



第三章 地続 終

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