EX11 幼女帝国樹立
「杖が盗まれました」
「はい?」
王国第二王女モルガン・ル・フェイは密偵より報告された言葉に目を白黒させた。
七つの終末機構・杖。
無限の可能性を秘めると謂われている杖だが、未だ解明できていない部分が多い。
一説には心の底からの望みを叶えると言われているが、その報告はない。
何を起こすか分からない危険物かつ無用の長物それが王国にとっての杖に対する総意だった。
そんなわけもあって杖は王国城地下深くに厳重に封印もとい保管されていた。そのはずだが――
「また犯人どころかその手掛かりも分かっておらず、巡回していた兵士からは奇妙な笑い声が聞こえたとのことです……」
この有様である。
「ふぅ分かりました。早急に調査部隊を編成し、何か分かれば逐一私に報告なさい」
第二王女はひどい頭痛に悩まされるかのように額を抑えた。
「更にこれはどう報告したらいいのか分からないのですが……」
「なんですか、これ以上なにかあるっていうんですか?」
モルガンは呆れたようにため息をついた。
「その……幼女帝国が樹立されました」
「はい?」
「だから幼女帝国なるものが樹立されました」
「はい???????」
第二王女モルガンはあまりにも受け入れがたい報告に眩暈を覚えた。
しかし虚偽や戯れでこんなことを報告するとも思えない。栄えある王国兵の誰もが第二王女にそんな事をすれば、待っているのは死のみであるからだ。
「そのなんといえばいいのか、報告によれば幼女帝国代表は例の杖の形状に酷似したものを所持していたそうです」
そう繋がるのか。モルガンは更に勢いを増した眩暈で思わず倒れそうになった。
「あぁそういうことですか、頭が痛くなってきましたね。それで口に出すのも馬鹿らしいですが幼女帝国とやらを樹立させたのでしょう? 代表は声明の一つや二つは出してはいないんですか?」
「それがまた意味不明な内容でして、“デュフフフ!!”だそうです」
ここでモルガンはようやく一人の人物が頭に浮かんだ。異世界転移させた集団の中にそんな人物がいた気がしないでもない。正直見込みも興味も無かったので視界の端にすら入れていなかったがまさかこう来るか。
「異世界人はとち狂っているんですか???」
もちろんというか当然ながら第二王女の問いに答えられる者は誰もいなかった。なんというか色々と悪だくみをしていてあまり同情の余地がない彼女だが、今だけはご愁傷様といった感じだった。
◆
【あとがき】
ふぅ~ようやくここまで書き終えた。あー疲れたー。チーズ蒸しパンになりたい。
ちんたらと執筆の遅い作者ですがここまでお付き合いいただきありがとうございました。次回からようやく新章魔界編がスタートです。引き続きよろしくお願いいたします!!
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