《新章開幕CMというかラノベの頭ページに書いてあるイラスト付文章的なやつ》※読まなくても無問題


 薄暗い部屋。

 影人とアリスはたった二人ぽっちで焚火を間に挟み鎮座していた。

 会話はない。ただ名状しがたい沈黙が辺りに腐るほど蔓延していた。


 二人がたっぷりと沈黙を堪能し、胃の中から逆流リバースしそうになった頃。影人がポツリとそれを破った。


「一番大事なものはもう失くしちまったんだ。なら俺は、いや僕はどうすればいい。何を糧に生きろっていうんだ。どうか、どうか教えておくれよ」


 それはまるで縋るようで悲痛すぎる問いだった。


 その問いにアリスはもちろん誰も答えられる者はいなかった。そもそも答えられるわけもない。

 そしてただただ沈黙だけがゆっくりと蝕むように、また惨めに慰めるように二人を包むのだった。

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