EX9 それぞれの行方①


「オタク君……?」


 明星影人がオタクに優しいギャルと揶揄した少女が不意に空を見上げて呟いた、虫の知らせというやつだろうか。


「どうされましたか~?」


「あ、いやなんでもないです。多分気のせい気のせい!」


「? ならいいです。では勇者様、此方へどうぞ~」


 彼女と対面する第二王女モルガン・ル・フェイは微笑む。

 傍から見たらそれはさぞ慈愛に溢れる聖母のような微笑に見えることだろう。まぁその裏にどれほどドス黒く、醜悪極まりない企みがあるかはわかったものではないが。


 しかし彼女は存外純真なのでそのことにはまったく気がつく素振りはなかった。


 まぁそれはさておきモルガンは彼女をどこかへ案内している最中らしい。最終的に辿り着いたのは重厚な鉄扉により厳重に施錠された一室だった。


 ガシャンッ


 モルガンが手をかざすと鉄扉の施錠は簡単に解除され、扉はひとりでに開き始めた。


「――さぁ勇者様、貴方に更なる力を授けましょう」


 そしてモルガンが指し示す場所には一振の槍が存在した。













 ◆


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