??? 自意識過剰な語り手は傍迷惑にもかくたりき

 深く深く。


 強引にも運命に見定められた勇者は光をも通さぬ深淵へと落ちていく。


 勇者は魔王に敗北した。

 きっと読者的な存在がみたらゲンナリとした溜息を吐くだろう。なんだよ。ここまで引っ張ったくせに。結局負けやがって。所詮は陰キャか、みたいな。


 だが安心して欲しい。このクソったれでどうしようもない物語は残念ながら終わりそうもない。


 むしろ逆。存在しないはずの魔王と仕組まれた勇者が邂逅したことによりようやく始まるのだ。

 なにがって? 世界そのものを揺るがす反逆の物語さっ!!


 そして舞台は深き深き地の底へと移る。人の身ではおいそれと立ち寄れぬ禁断の地。

 かくして望んだわけでもなく仕組まれた勇者は太陽の光すらろくに届かぬ深淵、魔界へと赴く。









 ◆


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