第69話 魔王戦決着②


「テテテテーンテーンテーンテッテレー♪」


 前回のあらすじ! 無力化され無抵抗な魔王相手に魔剣ちゃんをブッパした。


 完全勝利を確信した俺は気分よく魔剣ちゃんを高く掲げ、そのまま鼻歌交じりにクルクルさせるのだった。


『マスターそれアウトよりのアウトですよ』


『魔剣ちゃん的にもドン引き~コンプラ的な?』


 いやメスガキ属性がいきなりコンプラとかさ。どういう情緒してんだよ。


 まぁうんそれは一度置いておくとして。

 とにもかくにも戦闘は終了した。土煙が酷くてろくに確認出来ないけど。

 それでもあの魔剣ちゃんの一撃を魔王はもろに喰らったのだ。魔王には申し訳ないが塵一つすら残るとは決して思えないね。


 あれか。あれなのか。魔王を倒したわけだし異世界転移完ってか。


 いやーようやく日本に帰ってゲームとかに勤しめるってもんですよ。正直、勇者とか柄じゃないですし結構キツかったんですよほんと。


 あーおわったおわったー。


「明星君、随分と盛り上がっているようだけれど、そうは問屋が卸さないようよ?」


「はい?」


 はい???


 気分良く小躍りでもしようかと思った矢先、アリスが冷水をぶちまけるように呟いた。

 アリスは魔王がいたであろう位置から噴き出す土煙を、険しい表情で睨む。


 いやいやいやいやいや……あれだけの威力だよ?

 無事どころか五体満足なのかも怪しいレベルなんですがそれは。


『おい小僧、煙が晴れてきたぞ。妄想に浸ってねぇでとっとと現実に戻ってこいや』


 アリスに抱かれた魔導本が声を上げた。

 魔導本がいうように徐々に魔剣ちゃんにより引き起こされた土煙が晴れていく。そして薄くなった土煙に一つの人影が浮かび上がった。


「おいおい、まじか……」


 当然そこにいる人物とは以外に有り得るわけもない。


「クカッ、クカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッッッ!!!!!」


 お前マジ巫山戯んなよというか大変残念極まりないことに、魔王ヴォーティガン・ウェルシュルクは全くもって健在だった。血の一滴どころか、かすり傷すら見当たりやしない。


『あの攻撃を喰らってまさかの無傷ッ!?』


「いやいやそんなことはないぞ勇者よ。流石の妾も堪えたわ。ま、ほんの少しだけじゃがな」


 聖剣ちゃんが悲鳴を上げるように叫んだ。

 俺も同じような気持ちだ。ていうかあれだけの攻撃を受けてほんの少しとか洒落にもなんねーよ! この馬鹿!!!!!







 ◆


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