第26話 冒険者ギルドに登場する荒くれ者は一種の芸術①
「さてさてかたっ苦しい歓迎の挨拶も終わったところで基本的なことを説明するニャッ!」
用紙の記入が終わり、今度は冒険者ギルドの詳しい説明へと移行した。まぁアリスがどうかは知らないが俺はエリート陰キャ。授業中とか無駄にネット小説を読み漁ってたからこの手の知識は深かったりする。
「まずこのギルドカード! 失くしたら再発行に銀貨一枚かかるから失くしたら駄目ニャ!」
そう言って名前とランクの彫られた金属プレートを渡された。失くさぬようにこっそりとアイテムボックスに放り込んだ。
しかしここまで登録が簡単だと容易に偽装が出来てしまわないだろうか。疑問に思い尋ねてみたら、そこは異世界。このギルドカードや身分証に類するものは魔術が組み込まれており、偽装かどうか判別が可能らしい。
まぁそれでも偽装は後が立たないらしいが、バレれば重い刑が課せられる。最悪、死刑にもなるそうな。こわ異世界。
「いいかニャ。冒険者はFから始まりSSSまでの等級に分かれるニャ。なんでAの次はSだって? それは知らんニャ!!」
まぁテンプレだよね。アリスは首を傾げていたが分かる分かる。
猫耳受付嬢曰く最低のFランクは薬草等の採集のみだが、かといってテンプレよろしく簡単なものではないらしい。安全地帯にピクニック気分で行ける初心者用の依頼など存在しない。あるのは険しい獣道や我が物顔で闊歩する魔獣達を乗り越えなければならない命懸けのミッションだ。
当然、死人だって出るそうだ。最低なFランクですらこれだ。他のランクなど推して知るべしである。
「ま、駆け出しのうちは危ない橋は渡らず命を大事に採集をこなしていくべきニャ。死なれても寝覚めが悪いからほどほどに頑張るニャ―」
猫耳受付嬢はFランクの依頼をいくつかキチンとこなせばEランクに上がれると付け足した。
とはいえ俺達の当面の目的はアリスのレベルアップの為の魔獣討伐だ。
カウンター左横のボードにはいくつかの魔獣討伐依頼が張り付けられていた。その中で特に気を引いたものが大きく赤字で×印を描かれたものだ。
「明星君これって……」
「うん、多分のあの
依頼書には
【山脈赤龍】
推奨ランク:Sランク以上。
生息地域:魔ノ森最奥
※下手に刺激すると二次被害が予想されるためAランク以下の冒険者は絶対近づかないで下さい。いやほんとマジで。
と記載されていた。
こんなヤバいのに初っ端からぶつけてきた聖剣ちゃんはマジでイカレていると思う件について。
『てへ☆ぺろ』
脳内に直接大変ウザさ極まりない声が鳴り響いた。お前マジふざけんなよ。『こいつはいつか一度締めなければならい』、俺はそう決意した。
絶対龍種はさておき、今は手軽にこなせそうな魔獣討伐依頼だ。何かいいのはないか。
お、大量繁殖した魔角猪の討伐依頼だ。推奨ランクもDランクだし今の俺達、いや正確にいえばアリスにはおあつらえ向きだろう。
【
推奨ランク:Dランク以上。
生息地域:魔ノ森浅部
※大量繁殖につき注意。
いいねいいね。特に大量繫殖ってところが最高だ。アリスのレベルを簡単に上げられることだろう。
しかし、討伐目標を決め意気込んだところで、
「おいおい駆け出しのルーキーが何一丁前に依頼書なんて見てんだよ!」
明らかにガタイが良く人相の悪い荒くれた冒険者の一人に絡まれた。こ、これは。
で、でた~~~よくある異世界テンプレのやつだ~~~!
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