第46話

「ロア? 大丈夫?」

「あ……ああ、ごめんなさいね。少し眠くて、ぼーっとしちゃってたわ。ちなみに、そのお花の名前は覚えていたりする?」

「えっと、たしか白壺草っていう名前だったと思う。白い花びらが壺みたいに丸くなってて、中にはたっぷり蜜が入ってるんだ。初めて見たお花だったから、一回で覚えちゃった」


 そう言ってリベラは、得意気に両手の指先を合わせ花を形作る。その年相応の可愛らしい様子にロアは微笑むと、リベラの枕元にしゃがみ込んだ。


「ふふっ、流石はリベラちゃん。特徴まで教えてくれてありがとね。おかげで、アタシもバッチリ覚えられたわ」

「ううん、どういたしまして」

「……さて、と。遅くまでお話に付き合ってくれて、ありがとね。明日が最後の日だから、サフィラスちゃんのお迎えはアタシに任せて」

「うん。おやすみなさい」

「ええ、おやすみなさい」


 ロアはリベラの頭を軽く撫でた後に腰を上げると、ドアの側に設けられたスイッチを回す。そうして天井の照明を消し、ベッドの下部に橙色の光を仄かに灯すと、静かに一階のリビングに移動した。

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