第14話―掌握する人心は誰がどこまで―

入り日やや赤く照らされるる日。


「スゥー……ンー」


「ここが学校の敷地内で気を緩めてしまったのか。

まったく、よく寝ている女の子だよ。

襲われるとか危険は低いだろうけど。警戒どこに」


何故だか夕闇に暮れている時刻の中庭のベンチの上でスヤスヤと眠っている五穀舞。


「どこでも寝所にするような奴だったけ。

どうでもいいか。さて、どうやって起こすか」


そのまま見て見ぬふりをして立ち去るという選択はなかった。


(微動だにしない後ろ姿を見えたから近づいたら、

案の定こんなところで寝ている……そんな

シチュエーションなら)


寝息を立てている五穀舞の周囲には人の気配がなく

彼女からすれば最悪の何物でもないだろう。


「うーん。異能で心がまだ残っている前なら手を出していただろうなぁ。

……まだ五穀舞の気概そのものがほしい。

燃えるような活力のエネルギーが」


決めた。

あの時とは違う場所である。

中庭であるけど異能の【人心掌握】を起動させる。

動いてある相手には致命的なほどの条件は、十分ほどの接触を続けることは容易である。

どこを触ってもセクハラにあたるので悩んだ末に俺は手首を触れることにした。

無断で触ってしまうのだから手の甲や頭それと肩にするよりもいくらかマシだろうから。


(もう下心で移り変わろうなんて目論んでいない)


条件を達成すると。

まだ眠っている彼女から離れ。

身を隠せそうな遮蔽物になれそうなものを歩き回って、ちょうどいい放置された雑草が生い茂る中へと入り横になる。

起動していくまで俺は目を閉じる。

――別人になっている俺は家に帰ったのは夜の帳になった頃。


「おかえり舞姉さん」


「うん。ただいま」


そうか。五穀舞に変わりくなるのは異能を行使から追体験した心が薄れていたから補充したい……

でもあった。

けど欲しかったのは帰ってから出迎えてくれる

かけがけのない人の言葉だった。

五穀舞の唯一に残された本当の家族を。

俺はこんなのは五穀舞に向けられて斑鳩平次の俺には一寸ちょっと欠片かけらすら込められていない。

――日が過ぎて。それからも俺は放課後になったりすると彼女を捜したりする。

それがルーティンになっている事に嫌悪する。


「いた。今度は……屋上にいたか。

にしてもここにするかな普通な判断して。

屋上に出て振り返った上の塔屋とうやなんて」


こうして入れ替えれる機会が訪れたら異能を使用して五穀舞になろうと俺はしていた。

今回はどういった気分なのか屋上の外を眺めようとドアをくぐり抜けてその場を反転。

くぐり抜けた小屋の上に寝ていた。

もし前にダイブしていた五穀舞の記憶から『一度は憧れる。

屋上にある小屋の上で昼寝をするのって』と呑気にそう考えていた。

なおアニメやマンガの影響。


「むにゃあー。えへへ」


「どんな夢を見ていることやら。

さて条件は満たした。ベストな隠れ場所を探すか」


気持ち良さそうにする彼女に飽きれながらも俺は今度は何処へ入れ替えた後の俺をどこに隠すかと。

塔屋から降りようとハシゴ型の段をつかんでいると視界や意識が薄れて遠のいていく。


「あ、あれ……まだ……はやい…………」


バタン。下に鈍いような物音が入り、そして五穀舞に乗り移ることに成功した。

いや予想よりも時間が短縮して失敗とも捉えれるべきだろうけど。


「どうなっている。

達成後に、まだ猶予ゆうよがあった。

こんな早くに起動するなんて……って、俺の身体は大丈夫かッ!?」


あの物音をした方へ顔を出してみれば、頭を打つような落ち方をしていた。

幸いというべきか残り二段で降りれる高さから落下

なら大怪我はしていないはず。血は流れていないし

……でも戻ったあとが怖い。


「とりあえず降りて確認を、でも止めておこう。

なんか知りたくない」


元に戻ったことはその時になれば後回しにする。


「五穀舞を異能で変わろうとルーティン化しているよな……我ながらに気持ち悪いが。

五穀舞すまん少しだけ借りるぞ」


両手を合わせ。

天に向けて俺は、ひとこと謝るのだった。

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