第12話―五穀舞その3―

下心丸を出しだった。

『だった』と過去の自制なのは作用による。

その作用が働いたのは疑いもなく異能。


(行使する前は、こうじゃなかった。

特定されないで触れることの下心が渦巻いていた)


「おーい、舞姉さんどうしたの?呆ける顔してさ」


「呆けてなんかいないよ。

ちょっとサイレントになっただけ」


「ふーん。次はボクがサイレントになるから数学のこの数式を解説してよ。

三次方程式がどうも理解が難しくて進まない」


約束していた。

妹の五穀ミズナの勉強を見てあげること。

女の子、それと飛び切りの美少女。

その部屋に上がっているというのに。

トキメキははずまず何より下心さえも。

もうここまでくると受け入れるしかない。

五穀舞を感情に俺は呑まれている。

憑依したのは一部だけではない。

別人格になる感情の奔流に呑まれる。

――指導は終わり気分転換に走る。

経過は?憑依して教えて自分の時間が。


「まさか、こんな時間でランニングするなんて。

努力を真っ先にやるのは凄まじいなぁ」


ミズナの勉強を丁寧に教える。

加えて諧謔ユーモアのある言葉で難しいイメージを瓦解させて苦手分野をハードル下げさせる工夫。

俺は、五穀舞が刻まれている。

習慣化を沿って着替える。

不思議と心まで彼女に。

同調してしまい自分の身体をまじまじ見て興奮する人はいない。

富んだプロモーションながらも五穀舞は胸の大きさに悩んでいらしゃる。

その気持ちは可愛いデザインやすぐ新しい下着を

買わないといけないことが理由らしい。


「なんか生活感のリアルな事情。

ここまで知りたくなかった。

走りたくないのが異能で乗り移る前なら。

今は走って頭をスッキリさせたくてムズムズしているのですが、意外とアクティブだな五穀舞は」


自室に戻ると復習を済ませてからの息抜きにランニング。

積極性に富んでいること。

変な人に接触しないよう近所を数分だけ走り回る。


「明日は目撃されたくないし。

朝一番に学校へ行って本体にタッチして戻るか」


浮かぶ月。仄かな光に照らされる住宅街。

人と車さえも通らない静かな夜道。

寂しくもあり時折と吹く夜風は頬をなでる。

夜風に当てながら思考に深く入る。

外を走るのは同じ光景ながらもそこは風流にさえ感じ取れさせる。


「はぁ……ハァ……」


塀に沿ったランニングコースに数分が経ち、そのまま家に戻る。

軽く趣味に費やしたからか俺は床に就いて眠りに落ちるのだった――。

――意識は眠りからめる。

煩悩がいつもの思考が駆け巡っていくが頭はそれを拒絶は溶け込む。

あまりにも不快さに吐き気を催して目覚める。


「――はっ!身を隠していたトイレにいる。

なら起動した異能が切れたのか。

まったく俺の異能なのに……。

くっ。取り扱い説明書なんて無いから右往左往なんて当然なんだけど。

理屈では無い体の一部みたいに感じ取れる。

完全と理解しれないのかな」


タイムリミットが過ぎて〖人心掌握〗が終了しようとしているッ!?

五穀舞となってから時間はどれだけ経っているか。スマホの時刻を確認すれば朝が昇る時刻。


「制限時間があるのは色々と収穫はあったし。

ここから出てコンビニ何か買うか」


まずは朝食を摂ってからと俺は学校のトイレを出て

昇降口に向かう。

窓から差し込む明かりが目障りだ。

夜明けの独特な淡い光が糾弾するように注いでいるように捉えた。

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