第10話―五穀舞―
美少女と二人きり。
……だというのに愚痴を交わし合っていた。
(まるで
もう俺なのかさえ分からなくいる)
言えない不満を口にして。
聞き手になると相槌を打に共感をしていると返す。
隣に歩いてるルナは控えめに言っても美少女。
「最近のドラマもいいんだけど……昔のドラマって迫力があったりマンガチックだから楽しくて」
ルナはドラマをよく観る。しかし生まれる前の。
ルナは話すことにハートルが高い。
恋人いない歴が年齢の初心者なのに現在は二人きりでいる。
これは女の子同士であまり踏み込まない友達とは知っているがどうしても緊張や心拍数上がる……
否、ならなかった。
学校を出てからも親しみや面白いと認識しかない。
(あれだけの
いつもなら興奮はする。それが蜃気楼のように最初からそんな性欲が無いのだ。
楽しく話して忘れていたことがある。
「いけない!」
「どうしたのがや?」
「語尾が変だよ。
それよりも妹が家で待っているの。心配かけたくないよ早く帰りたいよ」
「なら早く帰ればいいんじゃないかな」
はあっ!?な、何を考えているんだ。
俺に妹なんていない。
これは奪って拝借している身体。
本来の舞の魂は眠っている。
まだ意思があるような考えと発言。
まるで五穀舞と俺の思考がシンクロした別の何かな思考していた。
いや考え過ぎだ。どうも俺の【人心掌握】は五穀舞を
とはいかず持ち主の人格がある思考も自分の使用物ごとく手にして人格まで影響を及んでいるのでは。
なるほど。邪道と捨てられる異能の【人心掌握】は
字面に再現しているか。
『人』と『心』の定義。
恐らく意味があって異能を表している。
であるなら『人』は肉体を指して『心』はそのまま乗り移る前にある心、合わせてれば身体と心を俺がそこへ土足に入り自分の所有物として掌握する。
(こういう効果なのか)
テストや審査とかされて【人心掌握】を発動した事はあったが。
安全を入念とされた。
異能を使うよりも実際こうして行使。
【人心掌握】を初めて発揮させたこと振り返る。
異能を然るべき制限をかけられた特殊な施設。
制限がない俺の自分の異能を遺憾なく発揮して乗り移させた初が五穀舞となる。
ハズレと思ったが存外そうも悪くない。
でも相手の思考を触れたことは記憶が形成する感情に至らせたのはやりにくい。
俺はこのあとルナには堂々と胸を触れることや手を触ることは……しなかった。
ルナを『また明日』と別れる。
いや急にルナの方から手を握られたことはあったがそのときも心はザワめなかった。違うか、良心の呵責が苛まれてザワついた。
それはさておき。
「わたし……ち、違う!俺はイカルガ・ヘイジ。
危ういものがある異能を手にしてしまったなぁ。
冷静に考えて。このまま五穀舞の過去によれば妹がいるらしい。
なら軽くスケ……………べを。どれだけ抵抗あるんだよ五穀舞!
もう勝手にしてよ。ダメだ。おかしくなりそうだ。
俺は斑鳩平次、そうだ俺は廃棄物の斑鳩だ。
これで俺の人格は保てる。せめて良い思いをしないと入れ替えた苦労が泡になっちゃう。
どんな顔しているか手鏡でもチェックして励むとしよう。
妹が相手だとニセモノだと看破されるからなあ」
コンバートの折り畳み手鏡を取り出す。
「うおぉ!?やっぱり可愛い顔しているぞ。
にしても……花はダリアというのか」
丸くて鳥の羽のような模様をしている花の髪飾り。
それがどういう名称か気になって調べなかった。
この五穀舞の記憶からダリアが既知なようで。
ダリアの花言葉は。
《華麗》と《威厳》でもあり《優雅》。
その他にも《気品》という意味が込められている。
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