老女と詐欺
あべせい
老女と詐欺
たつととらの老女が2人、蕎麦屋で仲良く食事をしている。
たつ、お茶を口に運びながら、
「私、最近物忘れがひどくて。時々いやになってしまう」
とら、おしぼりで顔を拭き、
「物忘れ? 当たり前だよ。この年になって、物忘れをしないほうがおかしいンだ」
「そうかね。でも、あんたに30万円、貸していることは忘れていないよ」
「そんな余計なことは早く忘れたほうが、体のためにいいンだ」
たつ、思い出したように、
「でも、物忘れもいいことがある」
「どんな?」
「テレビで昔の古い映画を観たとき、とってもおもしろかったンだよ。どうしてこんなにおもしろい映画を若い頃に観ておかなかったンだろうと不思議に思って、旦那にその話をしたら、死んだ前の旦那と若い頃デートしたとき観た映画だって、前に私が言ったことがあるって、教えられたよ」
「ショックだっただろう?」
「いンや。これから、昔の古い映画をどんどん観てやろうと思ったね。例え昔観た作品でも、初めて観る気持ちで楽しめるじゃないか。記憶力なんて、あまりないほうが、人生楽しめると悟ったよ」
とら、信じられないという風に、
「そうかい。しかし、それは怪しいもンだ」
「どうしてだい?」
「いいかい。記憶が薄らぐというのは、痴呆の始まりなンだ」
「痴呆って、認知症のことだろう」
「認知症なンてことばは、どこのえらいさんが作ったのか知れないが、痴呆症のほうがずっとわかりいい。わたしゃ、ズーッと痴呆を使っている」
「その痴呆が、どうしたって?」
とら、箸を手に持って、
「食べながら話そうよ」
「そうだね。お蕎麦が伸びちまう」
「ここの蕎麦は国産、それも100%、信州小諸の蕎麦粉を使ってる、って。知ってたかい?」
たつ、とらの知識に興味を示し、
「いンや。いま初めて知ったよ」
「蕎麦はね。日本だけじゃない。世界30カ国で作っているンだよ。最もたくさん作っているのがロシア、次に中国。ほかにフランスやオーストラリアでも作っている。でもね、日本の蕎麦が一等美味しい。特に、こうして盛り蕎麦で食べるには、日本の蕎麦に限るンだ」
「あんた、蕎麦に詳しいンだね」
「あんたがパチンコに詳しいのと同じくらいにね」
たつ、心外と言いたげに、
「何言ってンだよ。私のパチンコは20年も昔の話だ。いまはもう、パチンコ屋に入ることもできやしない」
「どうしてだい? いつもパチンコの話をしているじゃないか」
「腰痛だよ。パチンコ台の前に座っていられるのは、せいぜい3時間だ。玉がいくら出ていても、打ち止めにしなくちゃならない。あのときの悔しさったら、ないね」
「そりゃ気の毒だ。私は、幸いなことに痛いってところはないね。強いてあげるとすれば、頭だね」
「頭って、頭痛かい?」
「頭痛じゃない。お金のやりくりで頭が痛……いや、痴呆の話だったね」
「そうだよ。記憶が薄れるのは痴呆の始まりだって、あんたが言い出したンだよ」
「記憶が薄らいだおかげで、昔観た映画を初めて観るような感動を覚えてうれしい、なんてあんたが言ったから、いけないンだ」
「どういけないンだい?」
「いまはまだいい。本当の痴呆になると、映画と現実の区別がつかなくなって、話はゴチャゴチャ、頭の中はグチャグチャになってしまうンだよ。聞いた話だけどね」
「映画の世界が現実の世界に割り込んで来るンだろ」
「まァ、そうだね」
たつ、うれしそうに、
「早くそうならないかね。私ゃ、待ち遠しいやね」
「バカ言ってンじゃないよ。それだと、周りが迷惑するンだ」
たつ、急に話題を変え、
「それはそうと、振り込め詐欺って、聞いたことがあるだろう」
「都合が悪くなると、話を変えるね。まァいいけど、その振り込め詐欺って、いまは『母さん助けて詐欺』って呼んでいる。それがどうかしたかい?」
「今朝がた、そんな電話があったンだよ」
「エッ!? だれに、あんたにかい?」
「そうだよ。他人(ひと)の話をして、どうするね」
「あれは、小金をもっている年寄りにかかってくるンだよ。あんたにかかってくるわけがない」
「あんたは、あの手の詐欺師のことを知らないね。あいつらは、小金を持っている年寄りにだけ電話をかけているンじゃないよ。滅多やたらに電話をかけまくって、そのなかで小金を持ってる連中が騙されるってことなンだ。金のない年寄りは、騙されようがないからね」
「そうかい。なら、あんたにかけたきた詐欺師はバカということになるね。すぐに電話は切れただろう? それとも、あんたのほうが切ったのかい?」
「そんな勿体ないことはしない。『恋人が交通事故を起こして示談金に困っている。とりあえず百万円、都合がつけば助かる』って言ってきたから、私は言ったね。『百万でいいのかい? 二百でも三百でも、遠慮せずに言うもンだ』って」
とら、不思議そうに、
「やつらがそんな話に食いついたのかい? 信じられないね」
「どの程度、信じたのかわからないけれど、最後に『ともだちに取りに行かせるから、渡してくれ』って言うから、『待っているよ』と言ったね」
「そんなことして、大丈夫なのかい?」
「大丈夫もなにも、あと小1時間もしたら、来るンだよ。そのともだちってのが……」
「そりゃタイヘンだ。アッ! 待って……」
とら、考え込み、バッグの中を改め、茶封筒を取り出して中身を確かめる。
「どうしたんだい、とらさん」
「私もひとのことが言えなくなった。忘れていたよ。あんたにあと小1時間と言われて思い出したよ」
「なにがだい?」
「私にも朝、電話があったンだ」
「振り込め詐欺かい?」
「詐欺なンかじゃないよ。投資だよ。金(キン)。1キロの金の延べ板を安くするから、買わないかって」
「いくらで?」
「百万円」
「怪しいね」
「そうかい。でも、あんたみたいにお金をくれてやるだけの話じゃない。金の延べ板と交換するンだからね。ウソだったら、その場で断ればいい」
「とらさん、いま金1グラム、いくらするか知っているかい?」
「2千円くらいかい」
「なに言ってンだい。4千円以上するンだよ」
「1グラム4千円として、1キロだと……400万円!」
「そうだろう。それを百万円っておかしくないかい」
「都市鉱山といわれる家電製品から取り出した金だから、安くできるというンだよ」
「山から掘り出した金だろうと、どこから取り出した金だろうと、金にはかわりないじゃないか。その話はヘンだよ」
「どうしよう。お金をもってきたのに……」
「どこだい、場所は?」
「高島平南駅前の郵便、エーッと……郵便ちょきんだったか、とにかく郵便マークがあるところと言ったと思うよ」
「私も同じ高島平南駅前だけど、郵便ポストの前だったか。いンや、ゆうちょ銀行のATMボックスの横だったような……」
「なんだ。たつさんもはっきりしないのか。あんたの時間は?」
「午後2時。とらさん、あんたは?」
「午後2時半……たつさん、警察に知らせたほうがよくはないかい?」
「警察かい? 警察はいやだね」
「どうしてだい」
「あんた、警察のこと、何も知らないンだね」
「どういうことだい?」
「警察って、裏金を作って自分たちで飲み食いしている、って聞いたことがないのかい?」
「そんなこと、どこでもやっていることだよ」
「税金だよ。警察が飲み食いしているのは。私たちが食べるものを惜しンで納めた税金だよ。そんな連中に、助けてもらおうなんて思わないね」
「でも、警察にも、いいひとはいるよ」
「だれだい?」
「赤塚署の鹿野花実さんや桜民都さん。私ゃ、ずいぶんお世話になっている」
「その話はこんどでいいよ。とにかく、警察はダメ」
「じゃ、たつさんは、どうするンだい。お金を渡すのかい?」
「百万円なンて、お金はないよ。とらさんの百万円、借りる手もあるけど……」
「これはダメだよ。金1キロだよ。たつさん、正直に話すしかないね。お金は用意できなかった、って」
「そんなことをしたら、どうなるね?」
「ひっぱたかれるね、間違いなく。悪くすりャ、グーで殴られて即、墓場行きだね」
「おォいやだ。まだ死にたくないよ。何か、いい知恵はないかい? とらさんは、こういう修羅場は何度もくぐり抜けているンじゃなかったのかい?」
「待ちなよ。急かすンじゃないよ。エーッと、たつさんの家の住所は、相手に知られているのかい?」
「私の携帯に掛かってきたからね。携帯の番号を知っているからには、住所だって知っていると思うよ。知らなくても、調べることができるって聞いたよ」
「私も携帯に掛かって来たよ。約束の場所に行かずにおいたら、家に押しかけてくるだろうね」
「そんなのゴメンだよ。私の恥ずかしいところを見られッちまう」
「たつさんの恥ずかしいところ、って?」
「30歳も若い男と一緒にいるンだよ」
「エッ!? さっき、たつさんが言った、おもしろいと思った映画が昔観た映画だと教えてくれた旦那、それって、30才も年下の男かい」
たつ、気恥ずかしそうに頷く。
「名前は?」
たつ、照れながら、
「シンちゃん」
「たつさん、いくつになるンだい?」
「69才」
「私と変わらないじゃないかい」
「とらさんは70才」
「1つくらいなンだよ。ということは、たつさんは、39才の男と同棲しているンだ」
「そうだよ」
「羨ましい! だったら、そのシンちゃんに相談すりゃ、いいじゃないか。バカらしい」
「とらさん、昔から言うだろう。イロ男、知恵と力はなかりけり、って」
「それも言うのなら、イロ男、金と力はなかりけり、だよ」
「シンちゃんは、金は持っているンだよ」
「エッ、金があるのに、たつさんに惚れたのかい、そのイロ男は」
「違うよ。いくらもの好きでも、30歳も年上の70女に惚れる男がいるかい。私がシンちゃんにあげたンだよ。とりあえず、300万円」
「気張ったね。私は、大枚はたいてホームに入ったから、もういくらも残っちゃいない。ホームになンか、入らなけりゃ、よかった。たつさんみたいに、イロ男を囲えばよかったよ」
「家で暮らすのも、それなりに難しいことがいろいろあるンだ。その話はおいといて……」
「とりあえず300万円、って言ったね」
「あァ、言ったよ」
「じゃ、たつさんはもっとお金があるンじゃないかい」
「現金はシンちゃんにあげたのが、ほぼすべてなンだ。通帳には30万円ほどしか、残っていないからね」
「どういうことだよ」
「だから、あとはお宝や土地、株券なンだよ」
「そォだった。たつさんは資産家の旦那が亡くなってくれたから、遺産がいっぱいあるンだったね……。そうだ! いい方法があるよ」
「どんな?」
二人は顔をつきあわせて、ゴチャゴチャ話し始めた。
高島平南駅前の歩道。
たつが郵便ポストのそばに立っている。一方、とらは、たつから6、7メートル離れたゆうちょ銀行のATMボックスの横に立っている。
二人とも、赤い帽子をかぶり、めかし込んで。
横断歩道を渡ってきた一人の若い女性(28)が歩道に立ち止まり、たつととらを交互に見る。
女性、とらに近寄り、何やら話しかける。とら、ウンウンと頷く。すると、ツーッとたつが二人に近付き、
「だまされちゃ、いけないよ。私がたつだよ」
女性の顔色が変わる。女性、とらに向かって、
「どうなンですか。私は荷物を受け取りにきただけなンです」
とら、腹立たしげな顔の女性に向かって、
「約束の百万円は、この(黒いハンドバッグを示し)バッグの中だよ」
すると、たつも負けずに、
「何言ってンだ。このひとに用事があるのは、わたしだよ」
女性、困った風に、
「こんな話は聞いていません。二人もいるなンて。(意を決して)いいです。では、お二人からいただきます」
とら、女性に、
「じゃ、金の延べ板、出してもらおうかい」
「金の延べ板!? 何のことですか?」
「決まっているだろ。百万円と交換する金の延べ板だよ」
「そんなこと、知りません。私はただ、郵便マークのそばにいる年寄りから、荷物をもらうように指示されただけです」
「なにバカ言ってンだよ。だれが見ず知らずの人間に百万円を渡すものかい。1キロの金の延べ板と交換できるっていうから、承知したンじゃないか」
「知りません。私はメールで頼まれただけなンです」
「インターネットかい?」
「ネットで『時給1万円の高額バイト』ってあったので、怪しみながらも申し込んだら、メールで『高島平南駅前の喫茶店ドンコの、入口から向かって左側3番目のテーブルの裏側に、コインロッカーのキーが貼りつけてある。そのコインロッカーを開けて、次の指示を待て』って」
「それで……」
「コインロッカーはこの駅前のものだったので、開けてみたら、中に5千円札1枚と、『午後2時に駅前のゆうちょ銀行に、赤い帽子をかぶった老女が来る。彼女に『受け取りにまいりました』といって、差し出される荷物を受けとってほしい』とメモ書きがありました」
「受け取ったら、どうするつもりだったンだい?」
「ですから、メモには『受け取った荷物は同じコインロッカーに入れてカギをかけ、そのキーは同じ喫茶店のテーブルの裏側にガムテープで貼りつけておくこと。残金の5千円は、喫茶店のウエイトレスが渡してくれる』って」
「バイトの依頼人の顔は見ていないってことだ」
「ええ」
「でもね、あんたのやろうとしていることは詐欺の共犯だよ。荷物の中身が現金だと見当はついていただろう?」
「まァ。高額バイトですから……」
「危ない橋を渡らせられる、ってわかっていたンじゃないか。これから、警察に行こッ」
とら、女性の手を掴む。
「堪忍してください」
「とらさん、もうそろそろ2時半だよ。あんたの……」
「そうだった。約束の金の延べ板が届く時刻だ」
辺りを見回す。が、それらしい人物の姿はない。
「たつさん、おかしくないかい」
「なにが?」
「あんたには、携帯に電話があったンだろう?」
「そうだよ」
「その携帯の番号を詐欺師はどうやって知ったンだろう?」
「そうか。振り込め詐欺は、家の固定電話にかけるのが普通だよね」
「携帯の番号はやたら教えない。個人的な知り合い以外にはね。金の話も、私の携帯電話が掛かってきたンだよ。もっとも、ホームに投資の電話がかかるわけないしね。私の携帯の番号を知っているのは、そんなにいやしない。まず、たつさん。それから……」
「とらさん。やっぱり、おかしいよ。1キロの金を百万円で売るわけない。持ってきたとしても偽の金、それとも、とらさんが持ってくる百万円を強奪する……」
「エッ!」
とら、バッグを胸に抱きしめ、
「かっさらう、ってのかい!」
「そうさ。いまどこからか、とらさんの隙をうかがっている」
「だったら、この女の子がその犯人かも知れないじゃないか。たつさんから、百万円がとれないときは、私の百万円を奪う計画。やっばり警察だ。私がよォく知っている赤塚署の鹿野花実さんか桜民都さんに電話してみるよ」
とら、携帯を操作する。
若い女性、ガラリッと態度を変える。
「待って。もォ、やってらンない! 私は全部、シンちゃんに頼まれたンよ!」
たつ、驚愕して、
「シンちゃん!? シンちゃんって、うちにいる?」
「バアさんと暮らしている、って聞いたわ」
「あのひとが、こんなことを……」
「たつさん、しっかりして。シンちゃんって、あんたのカレかい」
たつ、強く頷く。
「だから、若い男と一緒になったら、ロクなことがない。(女性に)あんた、名前は!」
「サキよ。シンちゃんの一回りも下の27才よ」
「とらさん、わかったよ。電話を掛けてきたのは、シンちゃんだ。『オレオレ』って言うから、『シンちゃんかい?』って聞いたら、『そうだ』って。声がよく似ていたから、そのときもシンちゃんだと思ったのだけれど」
「でも、恋人が交通事故を起こして、その示談金が欲しい、って言ったンだろう。あんた、それで腹が立たなかったのかい?」
「30も下の男だよ。恋人ができても仕方ないと思った。生まれてすぐに死んだ、私の息子の代わりだもの。ときどき寛大な気持ちになるンだよ。だけど、あとから腹が立ってきた。でも、詐欺だとわかると、あの声はシンちゃんじゃないンだと思えてきた……」
「たつさんの息子は赤ん坊のまま亡くなったのかい」
「とらさんは?」
「私の息子は、出て行ったきりだけど……」
とら、女性を見て、
「サキちゃんだったね。私はたつさんのともだちのとらだけど、私に金の電話をかけてきたのも、シンちゃんかい?」
「当たり前でしょ。あの婆さんから盗れないときは、あっちの婆さんから盗る、って言ってたから」
「どうやって?」
「それは聞いてないわ。私、もう帰っていい?」
「シンちゃんのところかい?」
「もうあんなオジさんとは手を切るわ。ひとのお金ばっか、当てにしてンだもの。うちのパチンコ屋によく来るオジさんで、ちょっと顔がいいからつきあったンだけど、お茶飲むのも、ご飯を食べるのも、みんな私もち。婆さんが最近、小遣いくれないンだ、って言い訳してさ」
たつ、驚いて、
「! シンちゃんはタクシーの運転をやっているンじゃなかったのかい?」
「タクシー? 知らない。私には、投資家と言ったわ。パソコンであちこちの株を買って儲けている、って」
「パソコン? そんなのいじっているの見たこともない。うちにパソコンはないし……」
「たつさん、目が覚めたかい?」
「すっかりね」
サキ、たつに向かって、
「シンちゃんは、あなたが籍に入れてくれないから、こんなことをするンだって言っていたわ」
とら、たつを諭すように、
「たつさん。あの男は、あんたの財産を狙っているンだよ。籍に入れたりしたら、あんたをブスリッてやって……」
「とらさん、ダメだよ。私はそれが怖くて、何を言われても籍だけはいじらないできたンだ」
とら、腕時計を見ながら、
「もうそろそろ、私の時間だね。金の延べ板を持ってくる……」
そのとき、白バイがサイレンを鳴らしながら猛スピードでやってくる。
とら、それを見て、
「鹿野花実さん、通称ハナちゃんの白バイだ!」
とら、たつ、サキの三人が、一斉に白バイの前方を見る。
原付バイクがマフラーから黒煙を吐きながら、エンジンを目いっぱいに吹かして逃げている。
しかし、エンジンが古いのかスピードが出ない。
たつ、原付バイクに乗っているヘルメットの男を見て、
「あれは、シ……」
白バイのハナちゃん、拡声器を使い、
「前を行く原付バイク、止まりなさい。それは盗難車両です。止まらないと、緊急停止させます!」
しかし、原付バイクは無視。
白バイ、キュンとスピードを上げると、バイクの前に割り込む。原付バイク、あおりを受けて横転、横滑りしながら、そのままたつたちがいる歩道に乗り上げる。
たつたち、慌てて避難。
たつ、原付バイクの男に駆け寄り、
「シンちゃん! なにしてンの!」
シン、ヘルメットを外し、
「イテッ、テッテテテッ、あの白バイ婦警、むちゃするやつだ。(たつを見て)こんなところでなにしているンだ!」
「とらさんと二人で、母さん助けて詐欺を捕まえたところだよ」
「エッ!」
「シンちゃんこそ、何しているンだよ」
「おれは、あと一歩で百万円、しくじったところだ」
(了)
老女と詐欺 あべせい @abesei
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