第三世界 モノクローム第四話 陽動
飛んで行ったリュウは、城の穴から中に入った。道中の瓦礫やらを纏った風で吹き飛ばしながら王室に向かった。
大きな音と同時に王室に入ると、そこにはロゼとシリィがいた。
「おい、ネムはどこだ。」
シリィがニタリとしながら答えた。
「おやおや、これはリュウさんお久しぶりですね。久々の再会なのですからそんな殺気はやめていただけませんか。」
「いいから答えろ。ネムはどこだ。」
「そんなにネムさんに会いたいんですか、少し嫉妬してしまいますね。」
シリィが持っている紅茶を飲もうとすると風圧でティーカップが割れた。
「おや、結構気に入ってたんですけどね。」
シリィの会話に耐えきれずリュウが突っ込んだ。
「ロゼ」
そういうと城中の影が飛び出てリュウを止めようとした。それを受け流し進もうとすると、今度は無数の影で堰き止められた。でもリュウは、それに対応してまた受け流し、掻き消し吹き飛ばし進んでいた。
「はぁー。強情ですね、『止まれ』」
その声でリュウの体は、完全に止まり、ロゼの影で覆い隠された。
「ーーッ」
初めての城はすごい不気味だった。襲撃にあったような荒れ様なのに異様に道が綺麗だった。どうぞこちらにきてくださいと言わんばかりの赤いカーペットに、変に等間隔のランプ。全てが不気味だった。
「こっちが王室です。」
ポルカが大きな扉を差した。
「フー。」
大きく息を飲んで構えようとした瞬間、大きな音と共にリュウが扉の奥から吹き飛ばされてきた。
「リュウ!」
ポルカが駆け寄りリュウを見た。
「大…丈夫。」
リュウは、ふらついて立つことも難しそうだった。リュウが吹き飛ばされてきた方向を見ると紳士の様な服を着た男と猫の耳の生えた中性的で不気味なやつがいた。
「ロゼ、シリィ、やってくれましたね。」
ポルカがものごくキレていた。
「フフフ。あなた方は、旧友との再会では、ガンを飛ばす風習などがあるんですか?」
「貴方と旧友になったつもりはありません。」
「私もありませんよ。」
シリィの返事の後すぐポルカが地面から無数の骨を出して攻撃した。そして、それをロゼが影で止める攻防が続いた。
「ネムは、どこですか?」
「本当あなた方は、同じことしか言わないですね。さすが自己犠牲の権化。気持ちが悪い。」
シリィの方に鎖が飛んで行った。
「ねぇ私達のこと忘れてない?」
「あぁいましたね、鬱陶しいのが。あなた方ただれですか?」
「初めまして。えっと、なんて呼べばいい?ダサ服?口だけ男?」
「愉快な方ですね。私の嫌いなタイプだ。」
「それはどうも。」
シキさんが無数の鎖で攻撃するとそれも影に撃ち落とされた。
「レン!あの影のやつどうにかできる?」
へ?無理だろシキさんとポルカの攻撃を軽くいなすやつだぞ。
「は、はい。」
剣を出してポルカに加勢した。前に出るたび多くなる影を一つ一つ叩き切って進んだ。
「くっそ、キリがない。一気に行くか、『ブルー・インフェルノ』」
その瞬間、影が散って前が空いた。
「とどめだ。」
とどめを入れようとしたら…
「『止まれ』」
その瞬間、全身が動かなくなり、その隙に影でぶっ飛ばされた。
「大丈夫!?」
受け身は取れたけど、流石に意識が飛びそうになった。
「いちよう…。」
「あの口だけ男をまずどうにかしないと、」
シキさんが考え込んだ。
「レン、ポルカと協力してあの影止めてて。」
「口だけは?」
「私がなんとかする。」
「了解。」
「貴様ら、無駄口はその辺にしとけよ。」
どうやら相手のシリィさんはお怒りの様だ。
「ポルカ、行くぞ。」
レンはポルカと協力してロゼとなんとか戦ってくれてる。私がなんとかしないと。考えろ、考えろ、あいつはなんで戦いに入ってこない?あいつ、魔法というのを使えば、私達を簡単に倒せるのに。魔力とやらを使いたくない?節約してるのか?うーん、わかんない。試してみよう。影にとらえられない速さで、
「『ケラウノス』」
光の槍がシリィに向かって飛んで行った。シリィは、ロゼを頼ろうとしたが間に合わず魔法を使った。
「『止まれ』くそ、ロゼ何をしている!」
「僕の方だけで手一杯なの。」
「チッ」
明らかに反応があった。あの速い攻撃でも魔法を節約することを優先しようとした。つまり後あいつが魔法を使える回数は、限られているということだ。だからやることは一つ。
「『ファントムバレット』」
シキの周りから半透明の紫がかった無数の弾丸が不規則な動きでシリィに向かっていった。
「ロゼ!」
「無理!」
シリィは、怒りながらシキの弾丸を止めた。
「やあやあ口だけ男、少しは戦ってみたらどうだい?」
「適材適所と言う言葉は、ご存知ですか?」
「うーん、知らない。『ファントムバレット』」
ロゼの影が少しだけシリィを守ろうとしてもファントムバレットの不規則な動きと実体のない弾が混ざってることで、ほとんど意味がなかった。当然シリィは、シキの攻撃を止めるしかなく魔法を使い続けた。
「くっそ、ロゼ!」
シキの猛攻撃がシリィを追い詰めていた。
「はぁはぁはぁ、どうしてだ、どうしてこんなはずでは。」
もう魔力が残り少ない、体を保つための魔力がなくなりそうだ。やばいもう時間の問題だ…、時間?シリィが外を見た。
「ハッハハハ。」
シリィが突然笑い出した。
「いやはや、私としたことが本来の目的を忘れていました。認めましょうあなた方は強い。でも、これはただの時間稼ぎ。本来勝敗なのどうでもいいのです。もう私達の目的は達した。十分すぎる時間を稼げました。」
シリィの体が薄くなっていた。
「でも、だからといってあなた方の不快な行動の数々は流石に目に余る。私が分身の体を保つために使っていた魔力、全て使いあなた方を地獄へと葬って差し上げましょう。」
シリィがロゼの方を見た。
「ロゼ、やれ。」
その瞬間、ロゼの影ものすごく膨張し暴れ回り城の壁や天井が吹き飛び、吹き抜けになった。すかさずシリィが放った。
「『上がれ』」
シリィがそう言い放つとリュウ、ポルカ、シキさん、僕が一斉に上に引っ張られた。咄嗟にポルカは、骨を出し地面に身を固定した。それと同時に風で対抗していたリュウを骨で地面に固定した。シキさんは先に僕に向けて、その後自分に向けて鎖を飛ばした。が、僕の方には距離が遠くて届かなかった。
そしてその僕はと言うと。今、はるか上空にいます。
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