第21話 ロボ線上のおれごん
『どんな活躍をするロボを描きたいか』では煮詰まってしまいました。むじゃきに、おれごんが考えた最強のロボは最強にはなれませんでした。
切り口を変えて、『どんな見た目のロボを』、『どんな機能のロボを』でもいいアイデアはふるわず。
見た目が変わる、形が変わる、機能が変わるでは出尽くした感があるんです。
ガンダムでは、あらゆる性能を用いて戦争を展開しました。時には超能力を使い、時には設計の想定を超えて。地球に落下する隕石を持ち上げたことがあれば、洗濯物を風乾させたこともあって。
ガンダムだけでも機能を網羅する勢いですよ。他の作品を合わせればもう、隙間なんてあるんだかないんだか。
私が原典として認識する1stガンダムですらすでに神の域です。冒頭からして質量兵器を地球に落下させる場面で度肝をぬき、後半は宇宙でのすみかを銃身に見立ててレーザーを撃つド派手な物語。
イデオンでは銀河全体全滅エンドからの輪廻転生を。
戦中生まれの矜持でしょうか。すさまじい勢いで物語をつむがれましたよね。それこそ高度経済成長に浮かれる日本人への警鐘としてロボを描き、人を描いた。
巨匠どころか命の恩人ですよ、おれごんにとって。
同時にあれら作品はすさまじい勢いでネタを消費してくれましたよね。あとには灰燼しか残っていません。
これには恨みしかない。おれごんがいち消費者から、いち表現者になったがゆえ、お門違いではありますが。
決して出尽くしてはいないんですよ? たぶんフラクタル構造のように無限にあるんです。おれごんが新たに思いつかないだけ。ただ、狭き門を探して歩くのはやめにしようかなと。
そこで考え方を変えました。ロボを描くのはやめにしようと。
機能ではもうダメなんです。おれごんごときではロボが無理。
であるならば。
こんなおれごんにも一応得意なものってあるじゃないですか。
特異な。
おれごん節という説教くさい、うっとうしい人物絵巻が。いつも通りにこれを描いて、そこにロボをそっとトッピング。
なにもかっこいいロボがあっと驚く新機能で敵をバッタバッタしてゆく必要まではないんです。毎週毎週玩具を売らなきゃならない宿命など帯びてはいないので。
だったら。
ロボは一旦外に置いて。
『どんな物語にしたいか』を考えました。これはかんたん、いくつか候補は出ました。
それをしげしげと眺めて。
やっぱり人間による劇を描きたいんですよ。ただバーンと登場してドーンと活躍するだけじゃあなくって。どんな人情劇の上に立脚しているかが重要なんです。
ですがどうでしょうか、深刻な転戦は2年前に描いたばかりです。それほど引き出しの多くない身としては、新たな戦争をつむぐ力を有せず。
でもこの線上で進めます。たぶんゴールには続いているはず。
人間、生きていればウンウンうなってでもアイデアを出さなきゃならない場面なんていくらでもあるでしょう?
だったら考えるだけですよ、他でもない、大好きなロボの線上なんですから。
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