第24話 デブにシワなし

 パイピングが袖とネックにあるTシャツを着ましてね。夏以来でした。

 そしたらですよ、腕まわりがスカスカなのです。

 おっと!? たしか夏には昔の注射よろしく腕を絞めあげてくれていたじゃありませんか。それがどうしてスカスカに?


 勇んで体重計に乗ります。


「みさらせェ! これが漢塾一号生おれごんの体重じゃあああああい!!!」


 ビタ1㌔も痩せてないじゃありませんか。どゆこと!?

 まさか洗濯してゆるゆるになった? いえいえ、着てないからこそ夏以来だったわけで。キツかったから着ないでいたんです。


 まさか体重はそのままに、おれごんが筋肉ダルマになっただけなんですゥ?

 脂肪が筋肉に置きかわっただけェ?


 だったらどうしてウエストはそのまんまなんですか。ちょっとはベルトをいたわってあげないと、いいかげん千切れて憤死しやすぜ。


 そろそろ太ももは競輪選手かライザリンシュタウトさんみたいになっています。もう9ヶ月も漕ぎ続けていますからねえ。もはや太ももにぜい肉はゼロ。

 百歩ゆずって最悪筋肉ダルマでもいいです。ウエストが満足いくくらいまで細くなってくれたなら。メタボを脱却できたなら。

 それはまだまだスタートラインなんですよねえ……。


 でもでも、背中の肉はつまみにくくなってきているんですよ。あれだけたわわだった背中のお肉が。

 んん?

 なのにどうしてウエスト周りは変わらないのでしょうねえ?


 でもですよ。まだまだ走り始めて9ヶ月。これが2年、3年と続けば?

 希望はあるんですよ、あれだけ汗を流しているんです。

 ですから、いつか。

 目指すボディへと。


 でもねえ、とある格言があるんですよ。

 ご存知です?


「デブにシワなし」


 お風呂から上がったら2秒で化粧水をつけるおれごんは、やがて刻まれるほうれい線におびえています。ゆえにちょうどいいところでキープしましょうね。

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