第2話

「メルロ?メルロなのっ⁉」


 全身白ずくめの姿の女の子が、姿を消した僕の親友の名前を口にしながら僕に駆け寄り、抱き付いて来た。


「やっと会えた……ずっと会いたかったんだから!」


 嬉し過ぎて泣き出してしまっている女の子に、かなりの罪悪感を感じながらも、僕は女の子が落ち着くまでひとしきりポンポンと背中を軽く叩いてあやし続けた。


 この子は一体誰なんだろう?

 なんでこの子は僕の親友の名前を知っているのだろう?

 彼は色々な事を僕に話してくれたけど、この子のことは聞いた事がない。


 ようやく彼女が落ち着いたところで、僕はおずおずと彼女に尋ねてみた。


「えっ……と、キミ、誰かな?」

「えっ……」


 まだ涙で濡れている目が大きく見開かれた。

 信じられないものでも見るような顔で、彼女は僕をじっと見る。


「メルロ……ホントにいなくなっちゃったの?」

「うん。キミはメルロの友達だったんだね?」

「違うもん!ピノはメルロの彼女だもん!」

「そ、そうだったんだ……」


 女の子の言葉に、僕は少なからず衝撃を受けていた。

 なぜなら、唯一無二の親友であるところのメルロから、僕はそんな話を全く聞いてなかったからだ。


 メルロ、彼女いたんだ……じゃあなおさら、なんでいなくなっちゃったんだよ?


 嬉し涙から一転、悲しみの涙にくれる女の子の姿をぼんやりと眺めながら、僕は消えてしまった親友を思った。

 ピノと名乗った女の子は、年はおそらく僕と同じくらいか少し下くらいに見えた。

 僕が22歳だから、恐らく20~22歳くらいじゃないかと思う。

 それにしては、口調はかなり幼く感じられたけれども、もしかしたらピノは僕にとってのメルロみたいなものなのかもしれない、と感じた。

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