第2話 美形愛好家
朝、起きたらパジャマから部屋着に着替える。朝食前に、歯を磨く。朝食はこんがり焼いたトーストと、ドレシッングをたっぷりかけたサラダ、昨日の残りのお味噌汁。学校に行けば、いつもの仲間がいて、馬鹿みたいに笑って過ごす。会社に行けば、いつもの同僚や上司がいて、叱られたり感謝されたりまた叱られたり、何とか昼休みまでを凌ぐ。
そんな「いつもの日常」を、 “
――ギ、ギーッ。
「
まだ暗闇に目が慣れない中、
「
「え……?」
「す、
「
「――――っ!」
「……ぁぁあ危ないじゃないですか、
「怪我がなかったなら、結果オーライでしょう。敬語は私のチャームポイントなんです。敬語を捨てるくらいなら、まずは
「『捨てるしかない』じゃなくて『捨てたい』なんですね……世は無情だ……」
「それより
(それよりって何ですか、それよりって)
「……はい」
「今、玄関ドアに穴が開いたのは『サギジョウリク』が私たちの侵入を拒んだからです。生意気です。ねじ伏せてやりましょう。ほら、
禍々しい空気は相変わらず2階から流れ込んできていて、しかも徐々に強くなっていた。けれど
「無論、異議無し」
視ろ。暗闇の奥の、その先を視ろ。
自分は力を使わなければ、
自分は
死力を尽くして、視ろ。
――居た。
「『【開門】』」
途端、
「……そうです。
「はあぁああ……暇だなぁ……」
――――――……
「君が『サギジョウリク』ですね?」
「…………あなたは」
黒い何者かはそれだけ言って、顔すら上げない。体育座りの体勢の上、頭を膝の上に組んだ両腕に
「あなたは……死神ですか」
青年の声だった。どことなく泣いているような、くぐもった声。
「違います。私は神の次にえらーい人です」
「…………神……?」
「君は『サギジョウリク』ですね?」
「…………
これを聞いた
「あなたは! 神様に会えるんですか!?」
黒い何者かが、勢いよく顔を上げた。と同時に、被っていた黒いフードが落ちて、その顔の造形がよく見えた。
「…………っ!」
鼻は高く、ぱっちりとした二重瞼の形は整っていて、眉も綺麗。唇も主張が強くなく、ちょうどいい。黒々とした髪の毛はサラサラで癖がない。
――私が見てきた造形美の中でも、これは…………。
「さいっ、こう、ほう……っ!」
そう、神の次にえらーい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます